こんにちは、ナチュロボです。今日もいい天気ですが、日中は仕事で外に出られず…。
平日は、一日生きているうちの時間がほとんど室内で過ごしています…。ただ、もう少しで春になるので、昼休みの時間くらいは外で過ごすようにしたいものですね。
では、本日は最近読んでみた、「世界を、こんなふうにみてごらん」(著者:日高敏隆氏)という本について、面白いと思った部分のご紹介と感想です。
動物行動学の専門家が書かれた本
私は田舎で生まれ育ったため、逆に、田舎ではなかなか珍しいようなプラモデル、ロボットに熱中していました。
この本の著者の日高さんは、東京生まれで、生物に強い興味を抱き、そのまま大人として、専門家としての人生を歩まれた方です。
もし私も都会に生まれていたら、生物側への興味が傾き、その志向をきっと目指していたでしょうね。以下は、ブックカバー裏面からの引用です。
子供の頃、芋虫と話がしたかった著者。おまえどこにいくの、と話しかけた。芋虫は答えず、葉っぱを食べはじめる。言葉の代わりに見ていて気がつくことで、気持ちがわかると思った。昆虫、猫や犬など動物とおしゃべりするには、観察が一番だとわかった。これが、いきものを見つめる原点。不思議と驚きにみちた世界を「なぜ?」と問い続けた動物行動学者がやさしい言葉でつづる自然の魅力発見エッセイ。
おぉ、今私が思っているようなことを人生を賭けて追求した方がいらっしゃるのですね…感動です。イモムシ、見ていると面白いです。
私は田舎で育っていたときは生物たちの存在があまりにも当たり前すぎて逆に追求できなかったので、家庭菜園や庭いじりをし始めて、その生態に強く興味を持ち始めたクチです。
そしてその著者の日高さんも東大出のスーパーエリート。さぞかし、科学的な論点で本が書かれているのだろうな…、そのような思い込みを持ちつつ、読み進めました。
…が、そんなことはなく、いい意味で裏切られました!
科学ですら世界を構成する一部分。世の中はイリュージョン
今現在の世の中は科学思考であふれているが、その科学ですら一面的な見方に過ぎず、世の中は結局、イリュージョンなんだ、というのが日高さんの考え方です。
後半のイリュージョンなんだ、というはいまだに私もしっかりとは解釈できていませんが笑、科学は一面的、というのは私もそう思いますね。
結局、人がなにかにすがるために論理的に構築した科学、というものに固執しているが、それだけではダメだ、ということです。
いい例が、サナギの色について実験されていた記述の部分です。緑色の葉っぱについたサナギは緑色になるが、茶色の木の部分についたサナギは茶色になる。
じゃあ、「緑」「茶」の色のところだけに置いて実験してみると、結果はバラバラ。そして日高さんが実験したところ、「色」だけのパラメータだけでサナギの色は決まるのではないのです。
「におい」「表面の曲がり具合」「表面の質感」「温度」「湿度」が複雑に関係していることを発見したのです!
短絡的に自然は構成されておらず、複雑な条件で初めて、その色が実現されていることを示したのです。当時は生物学が次元が低い、などと言われていたようですが、物理の運動を考えるよりよっぽど多次元で複雑ですよね~。
モンシロチョウへの「なぜ」という問い
モンシロチョウやアオムシはよく小学校の教育素材として取り上げられることが多いですが、その内容はワンパターンであることに日高さんは疑問を感じていました。「卵」⇒「幼虫」⇒「さなぎ」⇒「チョウ」、素晴らしい!というお決まりコースです。
そこで日高さんが着眼したのが、「なぜモンシロチョウの雄が雌を識別できるのか」でした。
見た目はほとんど変わらないモンシロチョウ、いろいろ実験してみて、紫外線が影響していることを実験で確認したとのことです!
…いやぁ、何事もやはり、「着眼点」が大事ですね。日高さんも「珍しいことはこのへんの生き物たちも必ず持っている」と言われています。
日頃、いろんな考えで、見方を変えながら、「なぜ?」を問うていく。勉強になります。
いきものに興味ある人にオススメです
ということで、本の感想でございました。内容は全く専門的ではなく、とても読みやすいです。
それでいて、普段のいきものの不思議が書かれていて、すんなり全部を読むことができました。深くいきものや自然、そして科学を認識するきっかけになれる本ですね。
それでは、また!
ナチュロボより